THE POWER

「あんたは強い人だよね。だれにも負けないぐらい」

「だれもかなわないと言ってよ。だからあたしのことが気に入ったんだ?」

「強い人がいれば助かるし」

「へえ、なんかでっかい計画でもあるの」

「あたし、女を救いたいの」

「なに、女をみんな?」

「そうだよ。できるものならね。みんなに手を差しのべて、いまなら新しい生きかたができるって伝えたい。女どうし助けあえばいいのよ。男たちには好きなようにやらせればいいけど、あたしたちは古い秩序にしがみついてる必要はないんだ。新しい道を切り開くんだよ」

 

 The Power by Naomi Alderman

RUN THE WORLD (GIRLS)

試写で、映画『あのこは貴族』を観た。原作を読んだことがあるもののうろ覚えで、勝手に「男を巡って女の子同士が争うのかな、精神削られそうで嫌だな」と思いながら観たら、まったくそんなことなかった。主要な女の子たち、誰も嫌なヤツじゃない。誰も嫌いになれない(中でも石橋静河演じる逸子は最高)。

どんな環境で育ってどんな人生を送っていてもみんな仲間(そりゃ歳の離れたおばさんやおばあさんを味方につけるのは難しいかもしれないけど)、こんなシスターフッドが見たかった!
去年『はちどり』や『82年生まれ、キム・ジヨン』を見て「女性監督による・女性が見て納得できる・女性の映画がちゃんと作られる韓国が羨ましい」と強く思ったけど、この映画は最後まで違和感を持たずにちゃんと納得できるものだった。そういう意味でも希望を感じる作品。作り手の方々にありがとうという気持ちでいっぱい。

 

ここからは少し話が逸れるけれど、田舎の嫌なところの描き方も見事だった。彩りに欠ける街並み、同窓会でバカみたいに騒ぐダサい奴ら、何も成し遂げてないくせにイキる弟。わたしが地元に帰るたびにストレスで具合が悪くなる理由が詰まってた。

ここ数年、映画やドラマを見ていると「父がいなくてよかった」と思うことが本当に多い。だって、父が母に対して偉そうな態度をとっていたり、当たり前のように家事を押し付けている姿を見たら、わたしはきっと本気でキレてしまうから。クソみたいな家父長制を目の当たりにせずにいられるのは、父や祖父がいないことの最大のメリットなのかも。ちなみにわたしの実の父は掃除や料理が得意なタイプで、決して母に任せてはいなかったけどね(もっと別の理由で離婚したのだろう)。

 

女の子たち、みんな一緒に自由に生きようね。わたしたちは何だってできる、どこへでも行ける。どうか他人に押しつぶされないで。世界中の女の子たちが自分自身を愛していられますように。いつだって祈ってるよ。

DEATH TO 2020(ⅱ)

前回に続いてドラマ編。好きだった作品について雑に書き殴っていく。レッツゴー。

 

Watchmen

今年わたしが夢中になったドラマは気づけばほとんど女性が活躍する作品で、これもそのうちの一つ。中盤まで頭がイマイチ追いつけずに「はて?」と思いつつ見てたんだけど、後半の追い込みが素晴らしい!もう止まらない!とっても面白くて大興奮しながら観た。映画版と比べてもそれぞれのキャラクターの気味悪さが絶妙で、🦑の使われ方も良かった。最高。必見。

 

『Unorthodox』

2020年、最も心に残った傑作。不勉強なわたしは超正統派ユダヤ教の女性たちがこんな暮らしをしてることを初めて知ったんだけど、あまりにもシビアで胸が苦しくなるほどだった。そんな生活から逃げ出したエスターは、この小さい体のどこにこんなエネルギーがあるの?ってくらい強くてかっこいい。そして美しい。さながら一人『マッド・マックス 怒りのデスロード』。観たのは2020年の夏だけど、今でもたまにこの作品を思い出して胸が熱くなる。これからの時代を生きる女の子たちも、かつて性別を理由に嫌な思いをしたことがある女性たちも、みんなに観てもらいたい作品。

 

The Queen’s Gambit』

あまりにも世間が騒いでいるので……と配信から1ヶ月後くらいにようやく観たら、面白すぎて一気見。ストーリーはもちろん、衣装や部屋のスタイリングも素晴らしくて、作品の世界観が見事に出来上がってた。終わり方も良かったなあ。主演のアニャ・テイラー=ジョイが気になって調べてみたら、わたしが楽しみにしていた『EMMA.』にも出ているらしく、さっさと公開しないと日本を出てくぞとキレそう。はあ、世知辛い。

 

『THE BOYS』season 2

はー!やっぱりおもしれー!Point Greyに一生ついていきます!と思いながら毎話観てた(セスのカメオ出演にブチ上がり)。終盤、女子3人でボッコボコにするシーン最高。シーズン1ではそこまで注目してなかったメイヴのことが大好きになった。ビリーの人間らしさが垣間見えたり、ディープやAトレインのユーモア(って言ってもイヤな奴らなんだけど)がよりフォーカスされたりして、それぞれのキャラクターの魅力が増した気がする。あー、シーズン3が楽しみ。

 

『Sex Education』season 2

Netflixよ、ただ闇雲にLGBTQを扱えばいいってもんじゃないんだぜ?」って話は前の記事に書いたけど、『Sex Education』はそんなことを微塵も思わせないほど丁寧にいろんなトピックを取り入れてるから大好き。シーズン2の場合はシスターフッドの描き方が完璧で、バス停でみんながエイミーを待つシーンには涙がこぼれた。「It’s my vagina.」のシーンなんて、ポスターにして部屋に貼っておきたいくらい。こういうドラマがちゃんと支持されて多くのティーンに届くのって、大きな希望だなと思う。

 

『The Politician』season 2

ライアン・マーフィー信者でゾーイ・ドゥイッチが大好きなわたしがこの作品を好きじゃないわけないんだけど、シーズン2も存分に楽しませてもらった。舞台が高校から政界へと変わり、ペイトンたちの戦いはよりダイナミックに。"政治版『glee』"ってくらいテンポ良くシーンが進んでいくので、あっという間に見終えちゃう。スタイリングの可愛さ(特にルーシー・ボイントン演じるアストリッド)は相変わらず。

 

『Hollywood』

またもやライアン・マーフィー。作品としての出来で言うと『The Politician』よりこっちに軍配が上がりそう。彼の作品では今やおなじみのダレン・クリス(ブレイン♡)はウザそうでウザくない役を見事に演じてるし、カミラ役の女の子はどこかで見たことあると思ったら『Spider-Man: Homecoming』のリズ! ジャド・アパトーの娘、モード・アパトーも良い役どころだった。ディックやアーニーを筆頭に、登場人物全員が人間としての魅力に溢れてて良かったな〜。

 

『The Baby-Sitters Club』

2020年を振り返ると、『BSC』があって良かったと心から思う。自分と重なる部分が多いのはもちろんクリスティだけど、注目すべきはクラウディア・キシ! 多くのアジア系がガリ勉キャラとして扱われがちな中、数学が苦手でオシャレで自己主張の強いクラウディアがいかに画期的な存在か! という点について友人の小田部さんとも熱く語り合った。全然タイプの違う女子同士でもちゃんと分かり合えるし仲良くなれるってことを、改めて学ばせてもらった気がする。道徳の教科書として日本の全トゥイーンに見せたいくらいだよ。

 

Euphoria

正確には2019年末から日本で配信してるんだけど、大好きな作品だからこの子も仲間に入れさせて……。ご存知のとおりわたしはこの手の青春ドラマに対して半ば盲目的な部分があって、しかも主演が大好きなゼンデイヤと来たらそれだけでもう虜になっちゃうわけなんですが(サム・レヴィンソン監督は『Assassination Nation』もなかなか好みだったし)。でも、わたしが『Euphoria』に夢中になった理由の大半はハンター・シェーファーにあったと思う。彼女のチャーミングな笑顔にやられて、ずっとジュールズの幸せを願いながら観てた。もちろん、エミー賞を受賞したゼンデイヤの演技も素晴らしかった。ルーやMJのような気怠い感じをあんなに上手く演じられる人、同世代ではきっと彼女以外にいないと思う。今はシーズン2が始まったのに、まだ観られていなくてイライラしてる最中。HBO Max、早くしてください。『シリコンバレー』シーズン6も、まだ観られてないし(飛行機の中でちょっと観たけど)。

 

ここまでがわたしのベスト9。

以下は作品としての仕上がりはイマイチだったけど、専門ジャンルなので(以下略)

 

『13 Reasons Why』season 4

みんなが「凄い作品が来た!」と夢中になったシーズン1から、セレーナ・ゴメスの『Back To You』だけが良かったシーズン2、「何を見させられているんだ?」と思わずにいられないシーズン3…… この作品の魅力度グラフがどんどん下がっていく中、あまり期待せずに観たファイナルシーズンはなんともビミョーだった。唯一癒されたのがチャーリーの存在で、アレックスに全力で尽くす彼を見ていたらいつかのブレインを思い出したよ。プロムのシーンでも、「約10年前にカートとブレインがいたから、今こうやってアレックスとチャーリーがダンスできてるんだよな」と思ったりした。はあ〜、キャストが良かっただけに微妙な終わり方になって残念だなあ。

 

以上!2020年、好きだったドラマでした!今年はどんな作品を観られるかな!海外作品を大きな時差なく観られるよう、日本のストリーミング環境が整ってほしいと願うばかり!それでは!

DEATH TO 2020(ⅰ)

DEA2020年をサバイブして、2021年を迎えることができた。Netflixの『Death to 2020』を観ていて改めて思ったけど、去年は本当に変な一年だったね。自分の住む国がアホすぎて、「これってフィクションか?」と何度も思ったほど。そんな状況の中でも、良い映画や良い音楽、良い試合に出会えたので各所に超感謝。今年は無事にバークレイズセンターやトッテナムホットスパースタジアムへ行けるだろうか?(おそらく無理だろうね)

というわけで、2020年に好きだった映画とドラマについて書きまとめようと思う。あくまでも自分の記録用。とてつもなくラフに書き流すよ。

 

House of Hummingbird

2020年、好きな映画を一つ選べと言われたらたぶんこれ。出てくる人たちがみんな良い演技をしていて、自然で(大事!)、気づくと作品の世界へと引き込まれてた。中でもウニとヨンジ先生は本当に素晴らしかった。不当な扱いにきちんと反抗すること、怒るべき時に怒ることがいかに大切か。わたしも年下の女の子たちにそれを伝えたいなって思った。ウニの友情や恋愛、家族関係……あまりにも一気にいろんなことが起こるので、ちょっと要素を詰め込みすぎ?とも思ったけど、思春期って本当にこのくらい色んなことが降りかかってくるんだよね。とっても良い映画なんだけど、だからこそ胸の中にふつふつと怒りが沸いてきて「FUCK THE PATRIARCHY!!!!!」と心の中で叫びながら劇場を出た。その数ヶ月後に観た『82年生まれ、キム・ジヨン』も現代女性の生きづらさを齟齬がないようきちんと描いていたし、"女性が観て納得できる女性監督による映画"をちゃんと作って発信できる韓国を心の底から羨ましく思う。

 

Jojo Rabbit』

こんなに愛らしくて、こんなに切なくて、こんなにあたたかくて、こんなに悲しくて、こんなに優しくて、こんなにチャーミングな映画、奇跡! ふと思い出すたびに胸がポッと熱くなる。一握の希望を感じるラストシーン、最高。キャスティングも見事で、スカヨハはもちろん、サム・ロックウェルも良かったなあ。オスカー授賞式の時のジョジョとヨーキーは涙が出るほどかわいかった。いつの日か自分の子どもと一緒に観たい。

 

『Little Women』

好き嫌いや良し悪しを超えて、尊かった! わたしが四姉妹の中で最も好きで共感できるのはもちろんジョーで、だから彼女がふと弱さを見せたシーンには一緒に涙しちゃった。長ったらしい邦題はだいたい全部クソだと思ってるけど、これに関しては見終えた後に「たしかにストーリーオブマイライフだな(笑)」ってちょっと納得した。そして、シアーシャ・ローナンはつくづく素晴らしいな。どんな役をやっても絶対に好きだもん。今後の活躍も超楽しみ。

 

『Booksmart』

日本の公開が遅すぎる!ふざけんな!と、2月にNYへ向かう飛行機の中で観た。主人公のエイミーとモリーは決してイケてるグループの子たちじゃないんだけど、過剰なまでにお互いを褒め合うおかげでちゃんと自分に自信があって強く自己主張をしてくれるから、観てて気持ちがよかった(わたしは昔から自己肯定感が低くてウジウジしている女の子が苦手なので、例えば『エイス・グレード』とかは途中でイライラしてしまう)。ビーニーは兄譲りの”コメディ力”があって、見ているだけで元気をもらえるね。サイコー!大好き!わたしの好きな映画ってコレよ!と強く主張したい。

 

『Marriage Story』

監督もキャストも好きすぎるあまり期待を裏切られるのが怖くてNetflixの再生ボタンを押せず、映画館で半ば無理やり観た。親の離婚を二度経験している子どもとして思うのは、距離が離れたり会わなくなってもやっぱり家族は家族で、なんだかんだ愛情はずっと残るんだよな……ってこと。この映画でも、最後に愛がジーンと沁みて胸がいっぱいになった。変に主張のあるオシャレな音楽を使ってない点も正解で、ランディ・ニューマンの劇伴が絶妙!

 

『mid90s』

わたしはシスターフッドだけでなくブラザーフッドにも弱いので、さながらアメリカ版『This Is England』と言えるであろうこの映画にも簡単に心を掴まれた。Illegal Civilizationチームの演技もナイスだし、我らがアレクサ・デミーがまたもやワルい女を演じてて最高! 個人的には兄役のルーカス・ヘッジズのスタイリングがツボで、ラガーシャツの上にシルバーのネックレスをつけるやつはすぐに真似しようと思った。

 

ここまでが、今年のベスト6。いかにもわたしっぽいセレクトで、超つまんないなと思った。いつになったら青春映画に対して盲目じゃなくなるんだろうね。

最高!傑作!大好き!ってわけではないけど、自分の専門ジャンルなので語らずにいられない作品については下記のとおり。

 

『THE PROM』

正直、ここ数年のNetflix作品に対しては「めったやたらにLGBTQを扱えばいいってもんじゃないんだぜ……?」と思ってしまう自分がいるんだけど、ライアン・マーフィーはもう何年も前からずっとそういう作品を作り続けてる人なので、黙って信じて観た。かつてサンタナとブリトニーが誰かにとっての希望であったように、この作品も誰かの手助けになったらいいなと願う。パフォーマンス面でいうと「Love Thy Neighbor」が一番好きだったなあ。アンドリュー・ラネルズは『GIRLS』の印象しかなかったので、活躍している姿を見られてうれしい。

 

『The Babysitter: Killer Queen

1よりコメディ感が増して、さらにわたし好みに! 人が死にまくるシーンを一人でゲラゲラ笑いながら観た。途中で入る回想シーンは要らないかな~と思ったけどね……。ジュダ・ルイスがあっという間にイケメンになってて驚いた。エミリー・アリン・リンドはリブート版『ゴシップガール』にも出るみたいなので、引き続き追います。

 

『The Kissing Booth 2』

これに関しては1の方が好きだったかも。とはいえ面白さは健在。ジェイコブ・エロルディは『Euphoria』のイメージが強すぎるせいかあまり好きになれないんだけど、正直に認めよう!ノア・フリンは最高にかっこいいと! レイチェル役のミーガン・ヤングも可愛かったな。3もあるみたいなので楽しみに待ちます。

 

なんか長くなりすぎたのでドラマについては次の記事に書くことにする:)

JUST A GIRL

本当に今更ながら、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』を読んだ。ここ数年モヤモヤしていた部分がスッと晴れて、ああ、わたしも「フェミニスト」を名乗っていいかもしれないと思えた。

わたしは『キューティ・ブロンド』を見てエル・ウッズに憧れた小学6年生の頃から今までずっと、たくましく生きる女性が大好きで、男性優位な社会が許せなくて、自分自身も自立した強い女性であろうとしているから、周りから「フェミニスト」という言葉でカテゴライズされたことが何度かある。

でも、わたしは昔から好きな色を聞かれたら真っ先にピンクを選ぶような子どもで、いつだってかわいいものに囲まれていたくて、自分をかわいく着飾るのも、男の子からチヤホヤされるのも、当たり前のように好きだ。女で、それなりに若くて、人並みに褒められる容姿だから、という理由で優遇されるようなことがあっても、その時に感じた小さな違和感は軽々と無視して生きてきた。

だから、私はずっと自分のことを「フェミニスト」ではないと思っていた。ただ、映画やドラマに登場する強い女性に憧れていて、家父長制に反対で、女性を下に見る男どもが大嫌いで、自分の力でお金を稼いで自由に暮らしたいと思っているだけで、「フェミニスト」ではないと。

でも、そんな態度も、もう終わり。「わたしみたいな者がフェミニストを名乗っていいものか…」と変に卑屈になる必要はなくなった。ようやくそう思えた、26歳の冬。